鈴ガ沢東股遡行記
日時 : 平成13年10月13日 晴れ
メンバ− : 森本全彦(S39年卒)、武田雄三(S39年)、塩崎将美(S41年)、浪川純吉(S42年)、大森雅宏(S53年)、
川野幸彦(S56年)、山本恵昭(S56年)、松山弘和(S61年)、池内友宏(現役)
概念図
10/12夜
9名のおじんと若者が目的地鈴が沢に迷いながらも集結する。13日2時頃であった。元気なる若者たち夜明けの4時頃まで酒盛り。
10/13
6:10起床 武田、塩崎の両人御岳の田の原駐車場に遡行終了用のための車を置きに行く。
8:40鈴が沢橋9名出発。林道を40分歩く。一人の馬鹿が、道草をして入渓ポイントの三沢橋で20分待たさられる。
9:40鈴が沢に入渓。曇り空であったが明るい沢である。出足で森本仰向けにドボン。皆の厄払い。滑床と斜瀑の連続。
10:20三段の大滝(30m程)に出くわす。一番の難所であった。ザイルを出して高巻きをする。
12:40洞窟の在る所まで2ピッチ。ここにて昼食。この間滑床と小滝と斜瀑の連続。水量も少なく美しい沢である。小さな釜もあったりで夏に訪れて水遊びなんかしたくなる沢である。1ピッチ行ったところで沢の終局を迎え大きなゴ−ロに遭遇し、右岸が大がれと成っている。
13:50少し迷うが三本ある沢の右側の沢を登る。水も無い空沢である。高巻きを交えて一気に高度を上げる。疲れもピークに達してるせいか、バテバテの登りであった。
15:20一番手浪川ドン吉が田の原駐車場下の車路に。それから遅れる事1時間16:20最後の森本完登。おじん組森本、武田、塩崎、励ましてくれた若手山本、池内等は、迎えの車を待つ。本当に美しく素晴らしい沢であった。 来年も又皆で行きましょう。(森本全彦)
塩崎さんのご提案で、折角木曽まで出かけるなら、登りましょうやと、駒王集会に引っ掛けて沢山のご参加になりました。
さて、深夜の中津川で関西・岐阜組みが集合して一路王滝村へ。おん年60組の飛ばすこと飛ばすこと。ジーゼルワゴン松山とファミリーカー足回りふにゃふにゃの大森はついてゆくのに一苦労。
信州組川野との集合場所に選んだ、国民宿舎「おんたけ荘」は、--調査不足ですみません--、現在営業停止中らしく、したがって看板の掲出もきわめて少なく、先着の川野からはケータイ電話で、「枝道ばっかり、カーナビなかったらまず来れません、きっと迷います」との情報。真夜中の村の中を一列でくるくると、やっぱり迷って、そのうちに@目的地をセットしなおしてカーナビ頼り、A天性野生の勘頼り、Bセオリーどおりに地図と理性頼りの3組に分裂。順番ばらばらで、結局はめでたく集合できたのですが・・。集合後林道終点に移動して、路上宴会。開始が午前2時過ぎですから当然終了も遅く、もうすぐ夜明けの4時頃就寝。
明け方、若手3-40台の高いびきの中、武田さん・塩崎さんは遡行終了点に車を回してくださいました。
さて、8時半頃泊地を出発。林道途中から入渓のグループと、折角使える林道は最後まで登らなくっちゃの2手に分かれ、「あ、渓流靴わすれた」とか「僕、沢登り初めてやけど、ジョギングシューズで何とかなるやるか」とか、ドキッとするようなせりふは聞かないふりできれいな流れに足を入れる。
経験がカバーできる範囲を過信してはならないが、経験は何やらかんやら結構幅広くカバーしてくれる事も体験した事柄である。
鈴が沢は今までの比良よりずっと明るく開けた長い谷で、滑床の続く沢を楽しむ。出てくる滝は池内みたいに泳いで忠実に正面からこなすも良し--ああ寒そう--、濡れるの嫌やからこっちへ行こうも良し、適当にルートを取ってわしゃわしゃと進む。参加の一氏の言葉によれば「たまたまおんなじ沢に単独行が9人集まったみたい」という風情。
概ね岩はしっかりしていて快適な遡行となったが、核心部は3段大滝の巻き道ルートの泥壁の登りと、遡行ほぼ終了点から右股への分岐の高巻きのルートファインディング。岩登りでなく高巻きが核心部になるのがちょっと残念だが、実際この2個所が悪かった。特に2個所目では、「薮こぎ万歳で突っ込みましょう」という意見と、前回の大台で一生分の薮こぎを充分楽しんだメンバーからの「時間はかかるが引き返してルート図どおりの下降路へ進んだら」、という議論が熱を帯びたが、後ろからやってきた理性派の、「ココニ踏ミ跡アリマスデ」、の言葉で一挙に解決して、ルートを上部に取り、涸れ沢を経てドライブウエィに突き当たり、4時頃いささかタイムオーバーとなったが遡行を終了した。
先行数名で配車済みの塩崎カーに乗り込み泊地へ戻り、デポ回収、車を回して残りメンバーの回収ののち、山岳会会合のある駒王に向った。(大森雅宏)
王滝村
集合場所に予定した王滝村、村の中がこんなに複雑で解りにくいとは想像だにしませんでした。まず神戸/岐阜組みの4台の車で村に突入、先頭はどんどん林道を登り出す、この林道は目的の鈴ケ沢の一本東の林道と気が付き狭い道でユ−タ−ン村の中へ、この当たりから車ごとに判断が違いバラケだす。村の中は車一台がやっと走れる狭い道が縦横に、走れど走れど目的の”おんたけ荘”を見つけられない。塩崎の車は、それではと村役場の標識はあちこちにあるのでそこを目指すも標識どうり走っても見つからず、あれここ通ったんとちゃうかと同じ所をぐるぐる、なんと何回も前を走っているのに役場が想像するほどの建物でなく小さな建物で気が付かない。行き止まりの道に突っ込んだり、どんどん村から離れたり、ついに松本から参加の川野君に携帯でSOS、迎えに来てもらいやっと合流。約1時間のロス。
ドボン
全身ずぶ濡れのドボンは森本カンさん、武田雄さんの二人、カンさんは入渓して最初の渡渉で飛び石の上を数歩歩いてドボン、振返ると浅い水の中に尻餅を付きもがいてました。雄さんは私も緊張した釜の上のスラブの嫌なヘツリ、2m程落ち水中へ、流され出発点に逆戻り、私は1回しか見てませんが同じ所で2回ドボンしたようです。見ているほうは思わずニヤニヤするほど面白かったですが数歩水の中を歩くと足がジンジンする冷たい水、さぞ冷たく寒かったことでしょう。お二人の名誉の為付け加えますがカンさんは沢靴がオニュウ、靴を信頼しすぎた為、雄さんは沢靴を忘れ(致命的ミス?)普通の登山靴で遡行した為のドボンで決して技術的ミスではありません。
最悪の高巻き
3段の滝は遠くから50mをこす滝に見えますが近づくと5m,7m,20mの3段に分かれて落ちています。なかなか見事な滝でした。ここの高巻きはザイルを出しましたが、ずるずる滑る足元、浮石だらけで落石がビュンビュン、結構な高度感、ブッシュを握るとトゲトゲで手の痛いこと、最後は手のひらから血が噴出すしまつ。最悪の高巻きでした。
御岳はさすがに大きい
ル−ト図では約5時間で抜けれると書いてあるのを信じたのが間違い。核心部は予定通り歩けましたが、そこから田の原に抜けるのが苦労しました。核心部を抜け大休止の後、自分がゆっくり登りたい為に、時間の節約を理由ににパ−テ−を二組に分け、浪川君と元気な若手を先行させ車の回収/迎えの車を取りに行ってもらう事に。これで私が上に着いたころには迎えの車が待っているヤレヤレ安心と私がゆっくり登っていると何と先行組みが戻ってきます。最後の30mの直瀧が悪いのでル−ト変更との事、せっかく登ったのに下るのとシブシブ引き返し左岸の谷へ1ピッチ、又もや先行組みが滝に阻まれたと引き返して来ます。ここから左の尾根のわずかな踏み後をたよりに高巻き、藪こぎ有り、岩登り有りで体力消耗、やっと滝の上に。ここから涸れ沢を登りますが滝が出る度にもうれつな藪こぎ、やっとガ−ドレ−ルが見えましたがはるか彼方、見上げる程の高度差、ガックリ。私のピッチはとたんに落ち、若手に”歩かな着きませんよ”といっか聞いた様なせりふで励まされ、それでも休み休み、バテバテでやっとの事でドライブウエイにたどり着きました。
東股
王滝川の支流である鈴ゲ沢東股、全体の印象は南に面し明るい開けた谷でした。30mを越す滝在り斜曝在り、小さな滝は数限りなく、両側のスラブも素晴らしく釜も大小多くあり、美しいナメ床が連続し、核心部はほとんどゴ−ロ状になる事無く素晴らしい谷でした。トイ状の滝も在り、夏ならウォ−タ−スライダ−を思いきり楽しめそうです、勿論泳ぎが楽しめそうな釜も多くあります。1ヵ所水量の多いトイ状の流れがトンネルに吸込まれ自然の橋を掛け橋の下には大きな釜がある奇妙な自然の造形も目にしました。この橋の上流にドボンするとどう言う事になるのでしょう、人の体がうまく橋の下を潜れるのでしょうか?
この谷で唯一の残念な所は、大きな滝がどれも御岳特有の逆層でオ−バ−ハング、見るからに悪く直登できそも無く高巻きを強いられる点でした。
最後のバテバテが無ければ再び訪れたくなる最高の山行でした。
リ−ダ−不在(私の反省)
年齢差35才のパ−ティ−、決定的なリ−ダ−がいません。参加メンバ−は各自自分で判断できるメンバ−。自身の判断が先行しがちです。核心部終了後の高巻き途中、両側がスパッと切れ込んだ5-6mの岩登り、せっかくフィックスザイルを張ってくれたのに私のハ−ネスはリュックの中、めんどくさくて自身の判断でセルフを取らずに登りました。山では何が起こるかわかりません。リ−ダ−命令の無いパ-ティ−。誰かがザイルの必要を言えば皆がザイルで安全を確保、誰かがヘルメットの必要を言えば全員がヘルメットを着用する。自身の判断よりパ−ティ−全体の判断を優先し安全登山を心がけねばと反省しきりです。此れからも同じようなメンバ−で登りたいと思っていますが、リ−ダ−不在と言う問題は付いてまわりそうです。参加者がこの点を十分意識せねばと思います。特に私の様に年齢の高い参加者は若いメンバ−の声より自身の判断を優先しがちです。安全優先で楽しい山登りを続けたいものです。(塩崎将美)
感想
こぶし大の落石を武田さんに当てるという失態をおかし、また、ルートファインディングは山本さんだよりでぜんぜんダメでした。寒すぎて多数の「すべり」ポイントを素通りしたのが心残りです。(池内友宏)
鈴が沢ではいろりろとお世話になりありがとうございました。久しぶりに山岳部の人たちと登山が出来て楽しかったです。それにしても、大先輩方のパワーと粘りには恐れ入りました。私もあと20年経って、同じようなことが出来るのか。とてもいい目標が出来ました。あの後、私は疲労でえらい目にあいました。
また来年も行きたいです。いい所を探しておきます。(川野幸彦)
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